MT5はプロも使うと言われるほど高機能なFX専用の取引プラットフォームです。
しかし、そのわりには出来高の表示がないと不思議に思われた人もいるのではないでしょうか。
実際、株式投資などでは出来高はデフォルト表示されることも珍しくない重要数値のはずです。
ではなぜMT5はそれが標準で確認できない仕様になっているのでしょうか。
そこで今回はMT5の出来高について詳しく解説していきます。
MT5の出来高を詳しく解説
MT5の出来高とは
MT5は標準では出来高は表示されていません。
出来高とは、一定期間中に成立した取引量を表すものです。
出来高が多ければ活発に取り引きされていることを意味するため安定してトレードできる傾向にあるといえます。
逆に出来高が少ない場合は市場参加者が少ないことを意味するため、値動きの幅も荒くなりがちです。
状況次第で若干異なりますが、基本的には出来高が多いのは好ましいことと考えておいてよいかと思います。
ただし、出来高は一般的には株式投資で用いられる用語です。
対して、MT5はFX専用の取引プラットフォーム。 それゆえ出来高も標準では表示されません。
また、追加設定で表示できる出来高も、実際には株式投資とのそれとは似て非なるものです。
株式投資でいうところの出来高は、東京証券取引所などのマーケット「全体」が表現されます。
一方で、MT5の出来高はあくまでもその取引所(業者)のユーザーに限定された結果にすぎません。
必ずしもマーケット全体の傾向を表しているとはかぎらないのでそこは注意しておきましょう。
MT5の出来高の見方
MT5にはデフォルトで出来高が表示されていません。
MT5では出来高はインジケーターのひとつとしての扱いになっています。
インジケーターとしての名称は「Volumes」。
通常のインジケーターと同じ手順でチャートへ追加できます。
また、業者によっては基本メニュー内に「ボリューム」があることも珍しくありません。 あるいはチャートのプロパティからも設定できます。
いずれにせよ、MT5ではいずれかの方法で出来高に代わる指標を表示できます。
厳密な意味での出来高ではありませんが、マーケットのトレンドを補完する目的であればそれでも十分代わりになるかと思います。
MT5以外での出来高の確認方法
MT5にこだわらなければ、FX関連の出来高を確認する方法は少なくありません。
代表的なものは東京金融取引所のヒストリカルデータベースです。
また、金融先物取引業協会の月次速報もよく見られます。
あるいは日銀もおおまかな取引状況を公表しています。
これらは過去の実際の出来高なので、データとしての信憑性は間違いありません。
それをどうFXに活用するかはまた別の話しですが、MT5のチャート分析を補完する意味合いではどこかしらで使いどころもあるのではと思います。
MT5の出来高とティックボリュームの違い
MT5の出来高は厳密にいえばティックボリュームと呼ばれるインジケーターです。
そして、この2つは同じものではありません。
すでに解説してしまいましたが、出来高はマーケット全体の取引量を表すものです。
対して、ティックボリュームはその業者内の取り引きで価格が動いた「回数」を集計したものにすぎません。
全体の傾向としては実際の出来高とそう乖離しないはずですが、どうしても特殊なケースは生じえます。
もっとも、どちらにせよFXでは出来高もティックボリュームもあまり重要視されていません。
トレンドを見るにしてもトレンド系のインジケーターで十分ですし、オシレーター系インジケーターでもマーケットの温度感は推し量れます。
総じて、あえて出来高を具体的に見る必要も感じられません。
個人的に活用しきれていないだけといわれればそうですが、MT5の出来高はあくまでも参考程度に考えておくべきではないでしょうか。
MT5の出来高と取引時間
ここまではMT5ならではの出来高の特性を解説してきました。
それをおさえたうえで、ここからは実際にどう活用するのかを見ていきましょう。
たとえば、MT5の出来高は時間帯によって特徴的な傾向があります。
釈迦に説法かもしれませんが、FXのマーケットは単一ではなく東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場を中心に動いています。
そのため、各市場がオープンしている時間や、重なっている時間帯に出来高も多くなりがちです。
逆にそれらの時間帯を外せば出来高の少ないタイミングも狙えます。
出来高にかぎらず、取引時間はFXではかなり重要なポイントです。
株式投資から始めて、まだ国際時間に慣れていないという人は注意しておきましょう。
MT5の出来高と通貨ペア
MT5の出来高は通貨ペアによって大きな違いがあります。
考えてみれば当然ですが、人気のない通貨は出来高もそれだけ小さくなります。
FXの取扱銘柄にはメジャー通貨、マイナー通貨といった区分があります。
これは業者によって区分けもまちまちですが、少なくともメジャー通貨はある程度共通しています。
そして、メジャー通貨に分類されがちなドル、円、ユーロ、ポンドだけでFX全体の出来高の8割近くを占めると言われています。
逆にいえば、それら以外の通貨ペアはかなり出来高も小さいと考えて間違いありません。
総じて、メジャー通貨以外の通貨ペアはリスクが高めです。
あまりFXに慣れていない人は極端に出来高の小さい通貨を選ぶのはやめておいたほうが無難かと思います。
MT5の出来高は意味があるのか
MT5の出来高は株式投資の場合ほど重要ではありません。
どうしても取り引きの「回数」だけを見るMT5の出来高ではデータの正確性に欠けるからです。
また、集計対象も一般的な出来高とは比にならないほど少ないはずです。
総じて、MT5の出来高はそこまで強力なツールにはならないと思われます。
個人的には、それに代わるものとして板情報を見るほうがよいかと思います。
板情報には価格帯別の注文数量を確認できる機能です。
いわば価格帯別のリアルタイムの出来高といってもよいかもしれません。
短期売買であればチャートの出来高よりも板情報をチェックすることをおすすめします。
ただ、残念ながら板情報は必ずしもすべての業者で使えるわけでもなく、また対応している通貨ペアもかぎられています。
一応、MT5にはデフォルトで板情報の機能があるものの、使えるかどうかは状況次第です。
出来高よりもかなり強力なツールであることは間違いありませんが、可能であれば積極的に利用するくらいに考えておきましょう。
MT5の出来高を詳しく解説 まとめ
MT5はデフォルトでは出来高は表示されていません。
インジケーターのひとつとして追加することで初めて出来高を確認できます。
また、正確にいえばMT5に表示される出来高は「のようなもの」にすぎません。
株式投資ほど正確ではなく、それゆえFXではあまり出来高は重要視されていません。
一応、それに近いものは確認できますが、基本的には他の指標を分析のベースにすることをおすすめします。